前置詞の直後なのに形容詞?! (1) -as-
in, of, atなどをはじめとする前置詞は、名詞の「前」に「置」く語です。必然的に、その直後には名詞が入ることになり、その名詞を「前置詞の目的語」と称します。
ところが、ごく一部の前置詞の目的語に、なんと、形容詞がなることがあります。
その一つがasです。まずは、asの基本的な意味を簡単に説明しましょう。
asといえば、何やらいろいろな意味がある、いかにも面妖な単語というイメージがあるかもしれません。ですが、解釈に一工夫必要なのは接続詞のasであって、前置詞のasは常に「イコール」を表します(※ シンプルな事実ですが、これが本記事クライマックスの伏線です^^)。
As your doctor, I'd say you should refrain from drinking so heavily.
「医者として言わせてもらいますがね、深酒はお控えなさい。」
⇒ I = your doctor
They regarded Ted as a genius.
「彼らにとって、テッドは天才だった。」
⇒ Ted = a genius
Her sudden marriage struck me as the end of the world.
「彼女の電撃婚は、僕にとってはこの世の終わりだった。」
⇒ Her sudden marriage = the end of the world
(絶望したからって、勝手にこの世を終わらせんな^^;)
…といった具合です。常々学生に言うのですが、前置詞asがあったら、等式の両辺を(たとえ離れていても)必ず確認すべきです。そうすれば、訳語は後からついてきます。
前置詞asの本質は「として」ではありません。あくまで「イコール」なのです。
さて、本題に入りましょう。
上記の例文では、asの目的語はすべて名詞でした。一方で、こんな使い方もあります。
A lot of students label the grammer as useless.
「文法は役に立たないと思いこんでいる学生は数多い。」
uselessは「役に立たない」という意味の形容詞です。本来なら、前置詞の目的語になれるのは名詞だけのはず…。
まあ、何にでも例外はあるからね。asの後ろには形容詞が来てもいい、と…はい、暗記暗記…φ(..)メモメモ
―ってちょっと待ってください(^ω^;)
確かに例外です。でも、もう少し突っ込んで考えてみませんか?
よくよく考えてみれば、通常asの後ろには名詞しか来ないことなんざ、ネイティブにとっては(少なくとも感覚的には)当たり前のルールです。よほどのことがなければ、形容詞なんか置く気にならないと思いませんか^^;
逆に言えば、形容詞をつい後ろに置いてしまう、そしてそれが一般に広まるということは、それなりの強い理由があるということでしょう。
そのキーポイントが、asの持つ基本的意味
―そう、「イコール」です(先ほど、「伏線」と言いましたね^^)。
実は、asよりももっと身近な単語で、「イコール」を意味するものがあります。
それは、be動詞です。
Kate is a kind teacher.「ケイトはやさしい先生だ。」
このとき、Kate = a kind teacherの関係が成り立つことがわかりますね。
でも、「ケイト」が「やさしい」ということを伝えるだけなら、もっとシンプルな言い方があります。
Kate is kind.
ここでも、isを=に見立ててみましょう。Kate = kindですよね。
そして、kindは形容詞です。
そう、be動詞の後ろには、名詞だけでなく、形容詞も来ていいのです。
be動詞の後ろの要素を「補語:Complement」と呼びますが、実際、補語になるものは通常、名詞または形容詞です。文法単元で言うと、【5文型】の最初に扱われる事項ですね。
それが、asと何の関係があるのかって?
つまるところ、補語というのは、等式の右辺に当たるものです。
補語に名詞か形容詞が入るということは、さらに拡張して考えると、
等式の右辺には名詞も形容詞も入ってよいということなのです。
asの直後は等式の右辺だから、形容詞が来ても何も不思議なことなどありません。
むしろ、自然に受け入れられるというわけであります。
このように考えると、前置詞forの直後に形容詞が来る理由も説明できます(*^^)v
(例:take X for granted「Xを当然のことと思う」← grantedは(事実上)形容詞)
詳しくは、また後日…サイナラ-(@^^)/~~~
丈