前置詞の直後なのに形容詞?! (2) -for-
前回の記事の続きです。
前置詞の直後なのに形容詞?! (1) -as- - Joe's Cafe
簡単におさらいすると、be動詞にしてもasにしても、「イコール」を意味します。
そこから、直後には名詞も形容詞も入るという共通点に至るのでした。
今回は、同様の視点を前置詞forにも向けてみたいと思います(*^^)v
つまり、前置詞forの後にも形容詞が来ることがあるという意味なのですが、そもそもそんな認識などなかった人も少なくないでしょう(^_^;)
しかし、これはたいていの熟語集に載っている表現で、ご存知の方も多いでしょう。
take X for granted:Xを当然と思う
grantedは動詞grant「保証する」の過去分詞ですが、簡単に言うと、分詞というものは、形容詞または副詞として働きます。このgrantedは形容詞です。
Tom takes her deep affection for granted.
「トムは彼女に深く愛されているのに、そのありがたみをわかっていない。」
繰り返しになりますが、等式の右辺には名詞だけでなく形容詞も入ってよいというこでした。逆に考えてみましょう。forの直後に形容詞があるということは、forが「イコール」を意味する証拠ですよね。
そんな意味があるなんて知らなかった?でも、forに「交換」の意味があることはわりと知られた話です。
I paid 3,000 yen for this CD.「このCDの代金は3,000円だった。」
これが交換のforです。まさに3,000円とCDを交換していますよね。
ところで、なぜその取引が成立するのでしょうか。
もちろん、互いに同等の価値を持つからです。もし客が2,000円しか払おうとしなければ店側は売るのを拒否するでしょうし、あるいはそれがボロボロの中古品であれば、3,000円も出して買う人など皆無でしょう。
某人気コミック(アニメ)により「等価交換」という言葉が流行ったような気がしますが、(少なくとも建前上は)交換されるもの同士は互いに「等価」ですよね。
まさに、for=「交換」→「イコール」です。
改めて、先ほどの例文をご覧ください。
I paid 3,000 yen for this CD.
確かに、3,000 yen = this CDが成り立っていますよね。
次のforも、実は「交換」です。
She did the work for me.
多くの人が「私のために」と訳してしまうところで、結果的に正しい訳にはなるのですが、本来の意味は「彼女は私の代わりにその仕事をしてくれた。」です。
「彼女」が「私」の代役になれたのも、両者の能力が等しいからですよね。
(正確に言えば、"彼女≧私"かもしれませんが^^;)
ここで、最初の例文に戻りましょう。
Tom takes her deep affection for granted.
⇒ her deep affection = granted(保証済み)
結論、forも一種の「イコール」である以上、be動詞やasと同様、直後に形容詞を置いてもいいことが証明されました\(^o^)/オワタ
ちなみに、take X for grantedの類例として、以下のようなものもあります。
give up X for lost:もう(い)なくなってしまったものとしてXを捜すのを諦める
<be> left for dead:死んだもの・見込みのないものとして見放される
…ところで、affect「影響する」の名詞形affectionが「愛情」という突拍子もない意味になるのはなぜでしょう。
それは昔、愛情は月の影響を受けていると考えられていたためです!(^^)!
丈